D51 14 (ロールアウト初号機)

 流山市民運動公園の一角に封じられた黒い大きなナメクジ。初期型D51の中でも、記念すべきロールアウト初号機である「D51 14」です。

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 昭和48年(1973)7月20日に廃車となり、昭和51年(1976)8月13日に国鉄東京北鉄道管理局(1969年再編により東北本線を所管)と流山市の間で無償貸与契約が成立して搬入されたようです(現在は、JR東日本からの貸与)。

 三十数年前に始めて現地を訪れた際は、搬入から間もない頃であったようです。当時は、運動公園が整備されていませんでした。本機の周囲には、何らの囲いも覆いもなく、台地の頂上にポツネンと雨曝しで放置されていました。

 それは、全国での蒸気機関車の引退ブームも既に終盤となっていた時期でした。余りにもぞんざいな扱いであったために、「果たして本物なのだろうか?」と子供心ながらに訝ったほどでした。

(しかし、そのアンバランスな光景は印象に強く残っており、今でも個人的には「運動公園」でもなく、況してや「セントラルパーク」でもなく 「SL公園」です)。

 その後、何時の間にか現在のように保護がなされたようですが、悪戯や盗難(炭水車のプレートなど)による損壊を防ぐことが目的の消極的な対策に留まっています。

※設置されている案内板によればアスベストが使用されているため”見学者への安全面を配慮し”たとのこと。

 動態保存がなされていないことは勿論、補修も行われる様子はなく、緩慢に朽ちていくのに任せているように見受けられます。

 関東では希少な初期型のD51であり、特にロールアウト初号機であることから、鉄道愛好家の間では知られた存在であるようですが訪問者は少ないようです。

 また、保存されている場所と保存の仕方によって、付近の市民の関心も集めにくいようです。

 せめて、つくばエクスプレスの駅名に反映されていれば、市内外からの訪問者数は現在とは比べ物にならなかったと残念に思われて仕方ありません。より多くの注目を集めることで、現在のような朽ちるに任せた管理以外の選択肢も期待できた可能性があります。

 保存場所の周辺環境からすれば、日本工業大学の工業技術博物館ように、ほんの僅かな距離がらも稼働させるといったことも可能になったかもしれません。

 尚、本機に隣接して、流鉄で運用されていたガソリン客車「キハ31」が保存されています。これも劣化が目立ちます

 その脇に設置されている案内板の文言は・・・ですが、導入後間も無く、戦争による燃料不足などの理由で、木炭ガス発生炉を搭載した「木炭ガス動車」として運用したとか。その後は、ガソリン客車の事故や昭和24年(1949)の運行路線電化もあって、駆動部を取り外し、昭和27年まで牽引されて使用されたとか。

 ※1940年(昭和15年)1月29日、安治川口駅構内でガソリンカーの列車が脱線し、火災事故に(西成線列車脱線火災事故)。

訪問経路

 電車で訪問する際は、つくばエクスプレスの「流山セントラルパーク」駅の利用のみが現実的な選択となります。

 バスで訪問するのであれば、次の経路で「流山セントラルパーク駅」あるいは「芝崎」の停留所を利用できます。

東武バス「柏07」(流鉄「流山」〜JR「南柏」)

 ・ 東武バス「柏06」(流鉄「流山」〜JR「柏」)

 ※ 「免許センター」〜JR「柏」もあるので注意。

D51生産履歴

 川崎車輌には1〜13号機、汽車製造には14〜23号機が発注されたことで生産開始。「週刊 蒸気機関車 D51を作る 第6号」(デアゴスティーニ・ジャパン)などによれば、1936年(昭和11)2月29日、汽車製造が14号機を完成。川崎車輌の1号機は約1ヶ月後の3月22日に完成。最終は、1945年1月5日、日本車輛の1161号機。約10年間で1115両が製造された。台湾向けの37両、樺太向けの30両を加えると、総計1182両が製造された。

イ. 標準Aタイプ: 1〜21、24〜85、91〜100号機
 通称「なめくじ」。先台車がLT126、従台車がLT154B。テンダが8-20(91-96は 8-20A)。

ロ. 標準Bタイプ: 22、23号機
 通称「スーパなめくじ」。後に「なめくじ」に改装。

ハ. 第一次量産試作形: 86〜90、101〜106号機
 「なめくじ」よりもキャブが230mm延び、給水温メ器を煙突前に移動。
 101号機以降は集煙装置を煙突上に搭載。

ニ. 第二次量産試作形: 107〜133号機
 従台車がLT157。テンダが8-20B(鋼板組立式台車)。

ホ. 第三次量産試作形: 199〜211号機
 動力逆転機を手動ねじ式に変更。

ヘ. 量産形: 134〜198、212〜745、748〜845、950〜954号機
 702輌を擁し最多数の形式。

ト. 準戦時形: 746、747、846〜949号機
 資材不足でドームをカマボコ形に、ナンバープレート・デフ・テンダ上部を木製。
 煙室扉をナンバープレートの上で切るものもある。

950〜1000号機は、当初から欠番(ボイラ圧が異なる戦時型を1001号機から付番するため)。

チ. 戦時形: 1001〜1161号機
 炭水車が船底式の10-20形。台車がTL205。
 ランボードの木製化、砂撒き管を2本にするなど簡素化。
 軍需要のためにボイラ圧が14Kgから15Kgに。

機番 製造年月日 製造 製番 廃車年月日 最終配属
1 11.3.22 川崎 1643 62.3 梅小路
2 11.3.26 川崎 1644 46.12.13 稲沢一
3 11.3.27 川崎 1645 46.10.20 滝川
4 11.3.27 川崎 1646 50.12.3 追分
5 11.3.19 川崎 1647 43.9.26 稲沢一
6 11.3.29 川崎 1648 44.10.28 北見
7 川崎 1649 46.10.20 滝川
8 11.3.31 川崎 1650 48.5.24 厚狭
9 11.3.31 川崎 1651 48.8.10 南延岡
10 川崎 1652 48.9.10 直方
11 川崎 1653 48.11.30 岩見沢
12 12.3.14 川崎 1654 48 南延岡
13 川崎 1655 48.11.30 岩見沢一
14 11.2.29 汽車 1371 48.7.20 名寄
15 11.3.5 汽車 1372 50.5.6 岩見沢一
16 11.3.12 汽車 1373 45.1.25 岩見沢
17 11.3.14 汽車 1374 44.1.31 盛岡
18 11.3.17 汽車 1375 47.12.1 厚狭
19 11.3.18 汽車 1376 44.3.31 秋田
20 11.3.20 汽車 1377 46.1.7 直方
21 11.3.24 汽車 1378 45.4.9 新小岩
22 11.3.25 汽車 1379 43.2.2 酒田
23 11.3.28 汽車 1380 42.2.13 南延岡
24 11.12 川崎 1738 47.12.24 小樽築港
25 11.12 川崎 1739 51.3.4 吹田一
26 11.12 川崎 1740 44.7.31 岩見沢
27 11.12 川崎 1741 46.3.30 小樽築港
28 11.12 川崎 1742 46.11.29 酒田
29 12.1.13 川崎 1783 48 五稜郭
30 12.1 川崎 1784 42.12.7 出水
31 12.1 川崎 1785 44.1.31 直方
32 12.1 川崎 1786 43.11.28 大館
33 12.1.27 川崎 1787 44.11.8 直江津
34 12.1.30 川崎 1788 44.11.8 酒田
35 12.2.1 川崎 1789 45.3.31 青森
36 12.2.4 川崎 1790 48 長門
37 12.2.5 川崎 1791 42.12.7 酒田
38 11.12.24 汽車 1451 51.3.1 滝川
39 11.12.26 汽車 1452 43.3.29 長町
40 11.12.28 汽車 1453 43.10.10 秋田
41 12.2.2 汽車 1454 43.6.26 尻内
42 12.2.8 汽車 1455 49.6.12 南延岡

D51保存状況

 廃車や除籍後に178両が静態保存された。187、488および745号機は準鉄道記念物に指定。2輌(200および498号機)が動態保 存。

 保存されている初期型(ナメクジ:1〜21,24〜85,91〜100号機)は全国18輌。
 関東では流山市の14号機他に、つくば市に70号機があるのみ。

D51 1 : 京都市下京区「梅小路蒸気機関車館」 - 当初は動態保存。2006年、準鉄道記念物に指定
D51 2 : 大阪市港区「交通科学博物館」
D51 6 : 北海道旭川市「神居古潭駅跡」
D51 8 : 兵庫県尼崎市「大物公園」
D51 10 : 福岡県行橋市「行橋市役所」
D51 11 : 札幌市西区「農試公園」
D51 14 : 千葉県流山市「流山市総合運動公園」
D51 18 : 山口県宇部市「常盤公園」
D51 25 : 兵庫県三田市「はじかみ池公園」
D51 47 : 北海道岩見沢市「みなみ公園」
D51 51 : 京都市右京区トロッコ嵯峨駅前19世紀ホール
D51 59 : 長野県伊那郡辰野町「荒神山スポーツ公園」
D51 66 : 京都府相楽郡精華町「川西小学校」
D51 68 : 岩手県岩手郡雫石町「小岩井農場」
D51 70 : 茨城県つくば市「さくら交通公園」
D51 75 : 新潟県上越市「五智交通公園」
D51 95 : 北海道上川郡新得町「新得山スキー場」
D51 96 : 群馬県安中市「碓氷峠鉄道文化むら」

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